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アンガーマネジメント(怒りとの付き合い方)
2023/09/06
愛知県知多地域、西三河碧海地域、名古屋市南部地域を営業区域としています、中小企業応援社労士(経営労務プロデューサー、特定社会保険労務士)の岡戸久敏と申します。(西三河・知多の特定社会保険労務士 – おかど社会保険労務士事務所 (sr-hokado.jp))
今日は、アンガーマネジメントの基礎について、書きたいと思います。
アンガーマネジメントの手法は、直ぐに身につくものではありません。一つ一つじっくり取り組んでことが必要です。
ある調査結果では、パワハラに該当する言動をしたと思ったことがある人は45%にもなっています。また、パワハラをなくせないと思う人は、約7割もいます。その理由として、人は感情のコントロールが苦手が最も多くなっています。これは、アンガーマネジメントに通じる事実だと言えます。もう一つ、職場のハラスメントを防止するための課題として、世代間のギャップ・価値観の違い、ハラスメントへの理解不足など、様々な理由があげられています。
アンガーマネジメントとは、「怒り」によって「後悔しない」ということです。怒りの感情で後悔しない。この怒りとは、怒ってしまったことでの後悔と、怒らなかったことでの後悔の両面があります。つまり、怒る必要があることは、人を傷つけないように上手に怒り、怒る必要がないことには怒らないようにする。怒る・怒らないの線引きが、できるようになることです。
怒りとは、感情面では、人間にとって自然な感情の1つであって、怒りを感じない人はいないし、なくすことも不可能です。また、怒りの機能・役割は、自分の心と身を守るためのものであって、防衛機能です。
では、問題となる怒りとは、何か。4つあります。
第1に、強度が強い。小さなことでも激高する。一度怒ると非常に強く怒る。
第2に、持続性がある。根に持つ。思い出し怒りをする。
第3に、頻度が高い。イライラすると、カチンとくることが多い。
これは、周りの人もイライラしやすくなってしまう。
第4に、攻撃性がある。人を傷つける。
自分を必要以上に攻め続ける。メンタル不調になってしまう。
モノを壊す。ああやってしまったという後悔につながりやすい。
自分がどういう特性を持っているのか、自己診断してみるとよいです。
さて、私たちを怒らせるものの正体は何でしょうか。
それは、「こうあるべき」という、自分自身の感情です。「べき」には、普通、当然、あたり前という意味が込められています。ですから、「べき」が裏切られるとイラっとしてしまいます。
「べき」とうまく付き合うためには、次の3点について注意します。
世の中のすべての”べき”は、すべて正解とは思わない。本人にとっては正解だが、他の人にとって正解とは限らない。価値観は多様化しています。自分の考えを押し付けてはいけません。
同じ”べき”であっても、人によって程度が異なります。
時代、立場、場所によって、正解は変化します。
怒りが生まれるメカニズムは、マイナスの感情(辛い、悲しい、苦しい、怖い、心配、罪悪感、不安、嫌だなど)や、マイナスな状態(孤独感、眠い、疲れた、ストレス、空腹、打ちひしがれた、焦りなど)のドグマがたまり、「べき」の感情が裏切られて着火して、怒りになるということです。
怒りをコントロールするには、3つの方法が有効と言われています。
1つ目は、「衝動のコントロール」です。怒りが起こって6秒すると、理性が働いてくる。理性が働くまでに、6秒かかるということです。6秒経つと怒りがなくなると勘違いしている人がいるので、注意します。怒りを点数化すると、理性的になってきます。
2つ目は、「思考のコントロール」です。「許せるゾーン」、「まあ許せるゾーン」、「許せないゾーン」があります。このうち、「まあ許せるゾーン」を増やしていきます。自分の価値観でどの程度まで許せるか。最低限を決めます。また、基準を定めたら、自分の機嫌で変えないこと、人によって変えないことが重要です。他人に話すこともよいことです。
3つ目は、自分の「行動のコントロール」です。自分の力で変えられること・コントロール可能なことと、自分の力では変えられないこと・コントロール不可能なことを、自分の責任で選択できることです。ただ、選択を間違えても構わない。改めて考えてみればよい。
自分の力で変えられること・コントロール可能なことのうち、重要なことはすぐに取り組みましょう。あまり重要ではないことは、余力があるときに取り組めばよいです。
逆に、自分の力では変えられないこと・コントロール不可能なことのうち、重要なことは「変えられない」ことを受け入れましょう。現実的な代替案を探すことが必要です。あまり重要ではないことは、関わらないようにしましょう。自分も他人も、平穏で健康でいられることが大切です。
この考え方は、パワハラ防止、パワハラ後のケアにも役立つと考えます。
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